
日向市の公式河川プールは2つあります。東郷町の牧水公園内にある河川プールと、塩見の奥野河川プールです。
石並川は毎年多くの人々が訪れ、キャンプ場も併設しているにも関わらず、市の公認河川プールではありません。それだけに、手つかずの自然のままの川の様子を伺うことができます。岸壁には迫力のある柱状節理(ちゅうじょうせつり)がむき出しになって間近で見ることが出来、その下の深い碧い瀞は石並川特有のもので、多種多用の魚類の生息が見られます。清流・生態系だけでなく美しい自然全体の景観が人々の心を癒します。
一方、他の2つの日向市公認河川プールはコンクリートの護岸・堰があったりとすでに人の手が入っており、石並川はその点でも一線を画した美々津(みみつ)の名の由来に値する特別な場所だと考えられます。
その自然の景観の美しさを今のまま、これからもずっと未来に残したいと思うのが私たちの願いです。
「津」とは一般的には渡船場や、港をひかえて、人の多く集まる所・人の多く集まる地域のことを「津」と表すそうです。日向市美々津には美々津港という大きな港がありますが、その昔、石並川にも渡し船があり、船渡しの場があったということです。現在も、昔の渡し場に続くと思われる「里道」の痕跡が残っており、県道からかき分けて、河原まで降りることができます。
’’参勤交代などで他国の藩主が領内通行するとき、その藩は警護や渡河の舟や人夫を提供した。便宜を図ってやることを馳走といい提供する舟を御馳走船と言った。心見川(都農町)と石並川(美々津)は出水のとき人足を提供した’’(出典:宮崎歴史こぼれ話 No29・前田博仁 宮崎県民俗学会副会長 )
耳川や石並川、美しい水辺・船着場が密集する土地を昔の方々は見たままを言葉にし、「美々津」と名付けたのではないでしょうか。そしてその名前には、未来の子孫たちのためにもいつまでもそのままの美しい故郷になって欲しいという願いも込められていたのではないでしょうか?
昨今のキャンプやオフグリッド体験ブーム、コロナ禍の中でのワーケーションブームで、人々は今までよりも人工物のない自然の中で過ごすこと自体に意味を見出し、「手つかずの自然・ありのままの自然の景観が残っていること」を意義のあることだと考えるようになってきました。エコ・ツーリズム本格化の時代です。
それを裏付けるように2019年の夏は、キャンプ場も今までになく賑わい、河川プールも大勢の家族連れが利用していました。高圧送電線鉄塔はこの場所に建たなくとも、他の所に建つべきだと思わずにいられない理由がここにあります。市の重要なエコ観光資源の改悪を容認することは、この場所を愛して訪れてくれる人々の期待を裏切ることでもあり、この川で育った地元の人々を悲しませることでもあり、美々津(みみつ)という場所の地名に込められた意味合いや名付けた祖先の願いが失われるということです。訪れる人も少なくなり、私たちの心のふるさともなくなってしまいます。無秩序な公共事業や開発事業はその土地の持つ地力・魅力を損なう最大の原因の一つです。
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